厚生年金の適用拡大 定年継続雇用者は損をする?
厚生年金の適用拡大の施行が今年10月に迫っています。新たに加入対象となるのは以下の条件を満たす人です。

①1週間の所定労働時間が20時間以上
②月額賃金88,000円以上
③継続して1年以上雇用されることが見込まれる
④学生でない(学生は適用除外)
⑤従業員501人以上の企業に勤務(平成31年9月までの措置)

マスコミ等では、いわゆるパート・アルバイトの事しか取り上げていませんが、もっと深刻な方たちがいます。60歳で定年をむかえ、その後、継続雇用として勤務している方たちです。
定年継続雇用の方は、一般的には定年時の給与より下がります。そして、厚生年金を受給できます。(これから60歳を迎える男性は62歳以降から受給)。下がった給与に厚生年金と高年齢雇用継続給付をプラスする制度をとっているかと思います。
厚生年金の金額は、被保険者として厚生年金保険に加入すると、給与や年金額に応じて減額または全額支給停止になります。そこで、3/4勤務(一般的には1週間の所定労働時間を30時間以下にする)にし、厚生年金保険に加入せず、年金を全額もらっている方もいます。

現在、年金を全額もらっている人は、上記適用拡大の要件に該当すれば、被保険者として厚生年金保険に加入することになります。すると、もらっている年金額は減額、あるいは全額停止です。

このような方たちは、次の選択を迫られるわけです。
ア 1週30時間勤務を継続。給与は減らないが、厚生年金保険に加入するので年金は減額(または全額停止)
イ 1週間の所定労働時間を20時間未満に短縮。厚生年金保険に加入しないので年金額は減らないが、勤務時間の短縮により給与減額
どちらを選択しても、収入の大幅減となります。

被保険者として厚生年金保険に加入すれば、その分は年金加入歴になり、将来もらう年金額に反映されます。しかし、すでに公的年金の加入歴が40年以上ある人にとって、その先の加入歴はそれほど年金増額につながりません。
本件については、すでに当ブログでも紹介させていただいています。
厚生年金の適用拡大 定年継続雇用者にも影響
当面は従業員501人以上の企業の問題ですが、実際に、上記のような厳しい選択を迫られている人もいるというのも事実です。

定年継続雇用のご相談は、東京都文京区の平倉社会保険労務士事務所まで