裁量労働時間制はどう拡大されるのか?
裁量労働時間制拡大の事が国会で取り上げられています。総理大臣が一度答弁した内容を撤回したことが問題視されました。ただ、拡大と言ってもどのようになるのかというところが、なかなか報道されていません。

裁量労働時間制には、労働基準法第38条の3に定める専門業務型と、同法第38条の4に定める企画業務型があります。専門業務型は、情報処理システムの分析や設計、新聞や出版物の編集、放送番組制作のプロデューサーやディレクターなどの業務が対象になります。
企画業務型は、自社の事業について、企画、立案、調査及び分析を行う業務が対象になります。
専門業務型は、1日のみなし労働時間を健康及び福祉を確保する措置を労使協定で定めて導入するのに対して、企画業務型は、上記の事項を社内に設置した労使委員会で5分の4以上の賛成で決議するとともに、対象者の個別同意を取る必要があります。

裁量労働制の拡大が審議されているのは、企画業務型の方で、以下のような業務も新たに対象にしようとしています。
ア 事業の運営に関する事項について繰り返し、企画、立案、調査及び分析を行い、かつ、これらの成果を活用   し、当該事項の実施を管理するとともにその実施状況の評価を行う業務
イ 法人である顧客の事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析を行い、かつ、これらの成果  を活用した商品の販売又は役務の提供に係る当該顧客との契約の締結の勧誘又は締結を行う業務

アは「裁量的にPDCAを回す業務」と表記することもあります。イは「課題解決型提案営業」と表記されることもあります。今までは、自社の業務のみが対象でしたが、拡大されると、顧客に対する業務も対象となるわけです。ただ、通常の商品販売の営業は対象外となる見通しです。

裁量労働時間制は、労働基準法第38条の3か同法第38条の4の要件を満たしものだけです。フレックスタイム制や固定残業代を支払っていることだけでは、労働基準法で定める裁量労働時間制とは言えません。

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