人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか
遅ればせながら、話題の名著を読みました。人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか この「パズル」を解くカギはあるのでしょうか。

この本では、そまぞまな観点から分析をしています。
・非正規社員の増加により、全体の賃金を下げている。
・学卒時、就職氷河期だった世代の賃金の低さが影響している。
・景気が悪くても賃金は下げられない。それがあるから、賃金はなかなか上げられない。

答えは1つではなく、これら要因が重なり、あるいは関連しあっているのでしょう。

さて、この先も人手不足で賃金は上がらない状況が続くのでしょうか。この本を読んで私なりに推測した結果、人手不足は続くものの、賃金は上がっていくと考えました。ただし、そのためには条件があります。

人手不足というのは今後も続いていくと思います。日本の人口は減ってきています。ここ数年、女性や高年齢者の労働市場への参入によりそれを補ってきました。ただ、これらの層の参入が、この先増えていくということは考えにくいです。
そして、こられの層は主に非正規で雇用されていました。非正規労働者の数はこの先は増えないと推測しています。それなら正規雇用が増え、全体の賃金は上がっていくか。

そう簡単な話ではないかと思います。一人当たりの生産性が向上しなければ、賃金は上がらないでしょう。そのためには、労働者への教育訓練が不可欠です。人への投資が利益を生み、それが賃金上昇へつながっていくと思います。

「人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか」玄田有史編 (2017年 慶応義塾大学出版会)

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