精勤手当と割増賃金
前回紹介した、定年継続雇用者と正社員との賃金格差の最高裁判決。基本給部分では一定の格差を容認したものの、手当については、項目ごとに個別に不合理かどうかを判断するとし、精勤手当は、定年継続再雇用者だけに支給しないのは不合理としました。
実はこれには先がありまして、時間外割増賃金については、金額などを検討するために、東京高裁に審理を差し戻すとしています。
これは、精勤手当が支給されることとなったら、それも割増賃金(時間外、休日、深夜)の算定基礎額に入れ、再度計算するようにという意味かと思われます。

時間外や休日、深夜の割増賃金の単価を算定する際、月給者であれば、原則、支給された全ての賃金が算定対象となります。(割増賃金そのものは除外ですが)ただ、労働基準法の施行規則で、以下の賃金は除外すると定められています。
・家族手当
・通勤手当
・別居手当
・子女教育手当
・住宅手当
・臨時に支払われた賃金
・1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金
ここには、「その他これに準ずる賃金」のような項目がありません。いわゆる、限定列挙です。ここに書かれていない賃金は全て割増賃金の算定の際に算入しなくてはならないのです。
注意したいのは、
月によって支給したり支給しなかったりする手当(例 精勤手当)
支給するが、支給額が変動する手当
です。歩合給については、特殊な計算方法になりますが、算入しなくてはならないことに変わりありません。

また、上記に列挙した手当は、その名称で判断するのではなく、支給要件によって判断することになります。住宅手当なら、家賃額に応じたもの等、住宅に関しての手当てでないといけません。「住宅手当 全員一律2万円」というような場合は、割増賃金の算定の際に算入しなくてはなりません。

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