厚生年金保険 加入要件の緩和は必要か
厚生労働省は、厚生年金保険へ加入する要件を緩和する方向で検討に入りました。
現在は、勤務時間・勤務日数が、常時雇用者の4分の3未満(概ね週30時間未満の勤務)であっても、以下の全ての要件を満たせば、厚生年金保険に加入することになります。
1 週の所定労働時間が20時間以上であること
2 雇用期間が1年以上見込まれること
3 賃金の月額が8.8万円以上であること
4 学生でないこと
※被保険者数が常時501人以上の企業てせの要件。500人以下の企業では、労使合意が要件に加わる。

このうち、月額が8.8万円以上という部分を、月額6.8万円に引き下げるという案です。また、500人以下の企業については、労使合意の必要なく加入するという話も出ています。
なお、仮に収入要件が月額6.8万円に下がっても、現在の標準報酬月額の下限98千円は引き下げになるのかどうかはわかりません。

そもそも、週20時間以上勤務して、賃金月額8.8万円未満という人がどの程度いるのでしょうか?
東京都で考えると、最低賃金が958円(平成29年10月現在)。ただ、今後は上昇し、1000円を超えるのはあと2年くらいかと思われます。また、数年かけて、全国平均でも1000円するのが政府の目標です。
1カ月は4.3週間あるとして、時給1000円になったときを想定すると
20時間×4.3週間×1000=86,000円
20時間という最低ラインの勤務時間であっても、8.8万円の現在の要件にかなり近づきます。

週20時間勤務で、賃金月額を6.8万円未満(厚生年金保険に加入しない要件)とすると、時給790円未満にしないといけない試算が出ます。

収入要件を引き下げれば、それを超えないように時給や勤務時間数を減らそうという動きもでてきます。強制加入の要件を緩和するのではなく、国民年金に任意で上乗せできる制度を充実させるのも1つの方法かもしれません。

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