定年延長 官民で意識の差
2019年は、時間外労働の上限規制や年次有給休暇の5日消化義務など、労働基準法関連の改正がスタートします。
次の改革は、定年や継続雇用年齢の引き上げです。

〇国家公務員は具体案が判明
1月9日付けの日本経済新聞朝刊によると、国家公務員の定年を60歳から65歳に延長するための関連法案の概要が判明した。
それによると、2021年度に定年を61歳とし、徐々に引き上げていき、最終的には65歳になるもよう。引き上げのペースは2年に1歳ずつ引き上げる案を中心に検討しますが、3年に1歳ずつ引き上げる案も出ています。

〇賃金は定年前の7割?
60歳以上の職員給与を60歳前に比べ7割に抑える方針ですが、これは「当面の間の措置」とするようです。60歳未満の賃金カーブも見直し、50代から徐々に給与水準を抑制する形になるもようです。
これまでは、定年になると一気に給与が下がっていましたが、その差をなだらかにする効果が出ます。

〇民間企業への波及は?
定年年齢や給与について、国家公務員の制度が雛形となり、民間企業もそれに習って改定されていく?
そう簡単な話ではなさそうです。
日本商工会議所が行った、「働き方改革関連法への準備状況等に関する調査」によると、継続雇用年齢の65歳超への義務化については、50.5%の企業が反対と回答しています。2年前の57.2%よりは少なくなっていますが、いまだ半数を超えています。そして、反対と答えた企業の中の6割程度が、65歳超の人を既に雇用しているということがわかります。65歳超えの人の雇用実績があっても、制度として一律に適用するのは抵抗があるようです。
65歳を超えて雇用できない理由として多かったのが
・本人の体力的な面で難しい 63.3%
・若い年齢層の採用の阻害になる 44.9%
・生産性が低下する 30.4%
でした。また、継続雇用年齢が65歳超に義務化された場合の拡充・創設すべき支援策として、「高齢者を雇用することのインセンティブに対しての補助金・助成金」がトップでした。

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