従業員がインフルエンザにかかったら
インフルエンザが大流行しています。企業として対応に苦心する場面もあるかもしれませんが、基本的には以下のようにするのがよいです。

〇有給休暇を申請してきたら認める
インフルエンザにかかった人は高熱など自覚症状があります。仕事にならないので、本人が有給休暇を申請して休むのがほとんどでしょう。ほかの人にうつす危険もなくなり、いれがいちばんよい結果です。
会社としても、このような有給休暇は認めると宣言し、従業員が有給休暇をとりやすい雰囲気を作ることが大切です。

〇無理して出勤してきたら
責任感が強い人、あるいは有給休暇がない人は無理に出勤してくるかもしれません。そうなると、この人の病状が悪化することもありますし、ほかの従業員の人にうつす可能性もあります。集団感染で会社が休業に追い込まれるという事態は絶対にさけなければなりません。
そうならないために、インフルエンザと診断された人や、その疑いがある(38℃以上の熱がある)人を出勤させないのはやむを得ない措置でしょう。問題はその際の賃金です。
赤痢やコレラなど、法律で出勤停止することを認められた感染症の場合は、会社は賃金の支払い義務はありません。ただし、季節性のインフルエンザはそれに該当しません。よって、会社都合の休業となり、平均賃金の6割以上をその従業員に支払わなくてはなりません。
もっとも、有給休暇を使用すれば、6割ではなく10割の賃金が保障されます。その意味でも、有給休暇を持っている人は、それを使った方がよいでしょう。

〇インフルエンザなのに、無理やり出勤させるとどうなる?
人手不足が原因なのか、インフルエンザにかかっている人でも、有給休暇を認めず無理やり出勤させる企業があるそうです。 こんなことしても、企業にいいことは1つもありません。絶対にやめてください。

労働契約法には、企業は以下のような条文があります。
「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」
いわゆる、企業の安全配慮義務です。身体等の安全の中には、疾病から守ることも含まれ、無理やり出勤させて病状が悪化した場合は、安全配慮義務に問われる可能性があります。
また、ほかの人の従業員に感染したとなれば、その責任も問われかねません。安全配慮義務が認定されれば、損害賠償も考えられ、多くの従業員から多額の請求がくるという可能性も捨てきれません。
そこまでいかなくても、集団感染となれば、業務効率は落ちるでしょう。

強制的に出勤させることは、企業にも従業員にも最悪の結果となります。絶対にやめましょう。

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