従業員紹介の留意点
「友達を紹介してくれた社員に報奨金を払ったけど、これって税金や社会保険料はかかるの?」

先日、こんな相談を受けました。人手不足の現在、戦力となる従業員を紹介してくれるのはありがたいです。税金や社会保険料も悩ましい事ですが、もっと悩ましい問題もあるのです。

○職業紹介との関係
労働基準法第6条には、以下のことが書かれています。
「何人も、法律に基づいて許可ざる場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」
紹介してもらった社員に報奨金などの名目で金銭を支払う場合でも、この条文に違反してはならないのです。

職業安定法第40条を読むと、労働者の募集を行う際には、自社の従業員に賃金や給与を支払って行うことは禁止されていません(報酬を与えてはならない場合からは除く、と書かれています)。よって、賃金規程などにしっかり記載して運用していけば良いこととなります。

○規程で定める事項
まず、紹介1人につきいくらかを定める必要があります。相場としては1万円から5万円くらいと言われています。
また、支給要件も明確に定める必要があります。入社して紹介の手当を払った後、数日で辞めてしまったらどうするのかという問題もあります。
ア 入社したら支給する
イ 入社後○ヶ月間在職したら支給する
ウ 入社したときにも支給し、その後○ヶ月間在職したら追加支給する
概ねこの3パターンに分かれます。

○運用上の留意点
社員紹介制度は、最近多くの企業で検討・導入されています。当事務所のクライアントからも、今年に入ってから複数の相談を受けました。
従業員の紹介であれば、会社の様子を事前に話していることもあり、ミスマッチは少ないと言われています。また、募集にかかる費用も抑えられますので、うまく運用できればとても良い制度です。
ただ、紹介制度に頼りすぎると、弊害もあります。例えば紹介者間で社内派閥を作ることもあり得ます。この点は注意が必要です。

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