有給休暇は誰のもの
もちろん、労働者本人のものです。よって、いつ取得するのかは本人の意思です。会社が「本人のために」と思ってやった措置が、あとあとトラブルになる可能性があるので、要注意です。

・病気で休んだ人の欠勤を有給休暇にしてあげた
病気等で欠勤した場合には、その日の分の給与が日割りで引かれてしまうのは一般的です。ただ、有給休暇がたくさん残っている人は、使用して賃金が差し引かれるのを免れる(休んでも全額もらう)方がお得と考えて、有給休暇にかえてあげるなんてこともあるかもしれません。

本人の許可無く、会社が勝手に有給休暇として処理することはできません。本人からの申請がない場合は、欠勤にすべきです。

欠勤で給与が引かれてしまうけれど、旅行やほかの時のためにとっておきたいと考える人もいます。また、病気欠勤で労務不能が4日続けば、傷病手当金が受給できます。有給休暇にした日は、傷病手当金は受給できません。

・会社は、当日の有給休暇申請を認めなくてはならないのか?
当日の病気、親戚の不幸など、予期せぬ理由で当日に休む必要が出た社員から、「今日は有給休暇にします」と電話が入ったら、会社は有給休暇にする義務はあるのでしょうか?
有給休暇は「事前に」申請することになっています。事前にとはいつまでかという議論はありますが、当日に連絡したら、それは事前とは言えません。よって、その有給休暇は法律上認めなくてよいことになっています。

しかし、ほとんどの企業が、就業規則で、やむを得ない理由で当日欠勤したら、出勤後すみやかに有給休暇の申請をしたら、有給休暇に変更できると書いてあります。この条文があるから、当日欠勤を有給休暇に変更することになります。
就業規則に何も書いてなければ、当日の欠勤は欠勤のままです。

ただ、ここでも、「就業規則に、当日の欠勤は有給休暇に変更できるからいいだろう。」との判断で、会社が勝手に有給休暇に変更することはできません。

年次有給休暇の年間5日取得義務が開始されました。だからといって、労働者本人に無断で欠勤を有給休暇に変更することはできません。

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