台風による遅刻、欠勤の賃金
台風15号で被災された方、停電等で不自由な生活を強いられている方々にお見舞い申し上げます。

日曜日の夜中に関東地方を直撃したため、翌月曜日の朝は交通機関が混乱、定時に出社できない人や、仕方なくこの日の出勤を諦めた人も多かったでしょう。このような人の賃金はどうなるのでしょうか?

○賃金支払い義務はないが・・・
働いた分の時間の賃金だけ支払う ノーワーク・ノーペイの原則 があり、賃金支払い義務はありません。今回は天災なので、使用者の責めに帰すべき事由 もありません。

しかし、多くの企業は、就業規則で、電車の遅延証明を提出すれば遅刻としない と書かれていると思います。そして、賃金カットしない(全額支払う)としていることが多いのではないでしょうか。今回のケースも、それと同様に扱ってください。
駅が大混雑していて、遅延証明をもらえなかった人がいるかもしれません。ニュース等でその電車が遅れていることが確認できたら、その人も認めてあげてください。

○途中で出勤を諦めた人は
問題は、「出社時刻が遅くなるから、途中でその日の出勤を諦めた人」、あるいは、「出社予定時刻を会社に連絡したら、今日は出社しなくてよいと言われた人」です。
この人達は、一日勤務していません。一方で、遅刻にはなったものの、残りの勤務時間をしっかり働いた人もいます。両者を同じ扱い(一日勤務したことにして、賃金カットなし)にしていいのかという疑問はあります。厳密に言えば、「自ら出勤を諦めた人」と「会社の指示で出勤しなかった人」も違います。

これは、各企業や支店単位で状況を把握して決めてもらうしかありません。場所によって電車が不通になった時間も違いますし、定時に出勤できた人数も違うでしょうから。
例えば、半日分(あるいは午前)は賃金を補償するが、あと半日分(あるいは午後)は補償しない。勤務していない人は、賃金カットをするか、半日休暇を取得してもらうかしてもらう というようなルールを決めるとか。

○営業不可能だった場合
台風により社屋の倒壊、設備の破損、浸水や停電といった事由で、一定期間、営業が不可能になった会社もあるかもしれません。従業員の方には休業していただくしかないのですが、このように天災による直接的な被害は、前述している通り 使用者の責めに帰すべき事由 には該当しません。労働基準法で定めている休業手当(1日につき、平均賃金の6割以上)を支払う義務はなく、無給でもよいことになります。
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