有給奨励日 どこが問題?
飲食チェーン店を運営する企業が、休日を、それまでの「土曜日、日曜日、祝日」から、「年間119日、休日にならない祝日は有給奨励日」とした事が、ちょっとした話題になっています。インターネット上で「有給奨励日 国が問題視」という記事の見出しを見ましたが、有給奨励日が本当に問題あるのでしょうか?

○変更した背景には
今年の4月1日から、年次有給休暇の5日取得義務がスタートしました。今年はそれに加えてゴールデンウイークの10連休や、10月22日の即位の礼の祝日など、例年と比べて祝日が多くなりました。
法律改正と祝日増が重なり、年間休日の固定化という策に出たのでしょう。

○厚生労働省が伝えたかった事
本件に関して、厚生労働省の担当者がコメントしたのは事実のようです。ただ、有給奨励日そのものを問題視したわけではないでしょう。問題視したのは、従来からあった会社の所定休日を減らすことです。
厚生労働省は、年次有給休暇の5日取得義務がスタートする前から、リーフレット等で、従来ある会社の所定休日を減らして、そこに有給休暇を充てて5日取得するような行為に対して注意喚起をしてきました。「夏休みを廃止して、そこを有給休暇に充てる」ような事例を例に挙げていました。
従来ある休暇を廃止する、あるいは休日日数を減らすことは、労働条件の不利益変更にあたるからです。

○有給奨励日は違法か?
所定休日を減らすことなく、有給休暇の取得奨励日を設けることは違法ではありません。むしろ、有効に使いましょう。
例えば、台風接近が予想され出勤が危険な日や、大雪で電車の運休が予想される日。早い段階で従業員に周知して有給申請もしてもらえば、混乱も少ないでしょう。
また、会社の閑散期や仕事が一区切りした時期など。全社一斉にやる必要はなく、部署ごとに決めてもよいのです。奨励日になっていれば、申請もしやすいのではないでしょうか。
ただ、「有給強制日」はだめです。有給休暇の申請は、あくまでも労働者本人の意思によります。

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