在職老齢年金の支給停止要件 47万円までで決着の方向
このブログでも以前書きました、在職老齢年金の支給停止要件、65歳未満も65歳以上も、47万円までになる方向で決着しそうです。
政府が来年1月から始まる通常国会で、この案で関連法案を提出することとなりました。

○在職老齢年金のしくみ
もらえる老齢厚生年金の月額(これを基本月額と言います)と、その月の標準報酬月額と過去1年間の賞与額の12分の1(これを総報酬月額相当額と+言います)の合計で、年金が減額されるのかどうかが決まります。
つまり、(基本月額)+(総報酬月額相当額)の金額で
年金額が減額になるのか、ならないのか?
減額になるのならその金額はどうなるのか?
が決まります。これまでは、65歳未満は合計28万円までは年金減額なし、65歳以上は合計47万円までは年金減額なしとなっていましたが、65歳未満も47万円まで年金減額なしにするのが今回の案です。
65歳未満は改善、65歳以上は据え置きとなります。

○法律改正の背景
支給停止要件を改定するのは、「働いている人の年金を減額する」という制度が、高齢者の就業意欲を削いでいるという指摘があったからです。
「給与をもらって年金が減ったら意味がない」とか、「短時間勤務にして厚生年金から外れよう」(厚生年金保険の被保険者でなければ、収入金額にかかわらず、年金額の支給停止はありません)という考え方が生まれます。60歳の定年退職後、会社に残らず辞めていく人や、短時間勤務にする人は少なからずいます。
今回の改正により、65歳未満の方の就業意欲は改善していくことでしょう。
65歳以上の方の金額は、今回改定されません。厚生労働省は「65歳以上は効果が確認できない」としています。65歳以上で厚生年金保険に加入している人は、社長さんなど経営者層が多いからかもしれません。

○効果は限定的?
老齢厚生年金の支給開始年齢は、段階的に引きあがっています。2019年11月現在、男性は63歳から、女性は61歳からとなって、男性は2025年4月に、女性は2030年4月に、支給開始年齢が65歳になります。
65歳未満の人は老齢厚生年金がもらえなくなり、今回の改正は、意味がなくなることになります。
65歳超の就業者が増えてくれば、さらなる改善や制度自体の廃止も検討しなくてはならないでしょう。

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