雇用調整助成金 8330円の上限引き上げなるか?
連日TVで取り上げられている雇用調整助成金、中でも1人1日8330円の上限額を引き上げるべきだという議論が活発です。

このブログを書いている5月8日現在ではまだ8330円が上限ですが、これを引き上げる案が検討されています。

〇なぜ8330円の上限があるのか?
これは、失業したときにもらえる基本手当(失業給付)の日額上限額と同じ金額です。
基本手当は、原則として離職する直前6か月間に支払われた賃金を180で割って1日あたりの金額を出し、それのおよそ80%から45%の範囲になります。
ただ、ここにも上限額と下限額が定められていて、一番高い年齢枠が離職時45歳以上60歳未満となっています。

上限額も下限額も「毎月勤労統計」の結果に基づき、毎年8月1日に改定されます。現在はこれが8330円になっているのです。

雇用調整助成金の上限額を引き上げるために、失業した時にもらえる基本手当の日額の上限額も同時に引きあがることが予想されます。

〇誰が休業しても、受給額は同じ?
雇用調整助成金を受給するためには、休業した日1日につき、平均賃金の6割以上の休業手当を支給しなくてはなりません。同じ会社の中でも、給与が高い人もいれば低い人もいます。そうなると平均賃金額は違うので、休業手当の金額も違います。
ただ、雇用調整助成金として受給できる金額は、その会社は「1人1日 何円」と単価が算出され、休業した延べ日数をかけ額となります。
つまり、同じ会社であれば、誰が休業しても同じ金額となるのです。(雇用保険加入者の場合です)

〇雇用調整助成金の受給額計算方法
まず、直近に行った「労働保険確定料申告書」を用意します。

ここに書かれている、

雇用保険料の算定基礎となる賃金総額(千円未満切り捨て後の金額)

雇用保険被保険者人数
を見ます。
次に会社の年間所定労働日数を調べます。

(雇用保険料の算定基礎となる賃金総額)÷(雇用保険被保険者人数)÷(年間所定労働日数)

を計算すれば、その会社の、「平均給与の日額」が出るのです。

次に、休業手当として支給した際の支給率をかけます。

最後に、助成率をかけます。これは解雇等を行はない場合、大企業なら3/4、中小企業なら9/10です。

ただ、こうやって計算した結果、8330円を超えてしまったら、8330円となります。(5月8日現在)

〇さらなる改正
実は、5月6日の報道発表で以下のような特例も出ました。
1.小規模の事業主(概ね従業員20人以下)については、「実際の休業手当額」を用いて、助成額を算定できるようにします。
※ 「実際に支払った休業手当額」×「助成率」=「助成額」とします。

2.小規模の事業主以外の事業主についても、助成額を算定する際に用いる「平均賃金額」の算定方法を大幅に簡素化します。

(1) 「労働保険確定保険料申告書」だけでなく、「源泉所得税」の納付書を用いて1人当たり平均賃金を算定できることとします。
※ 源泉所得税の納付書における俸給、給料等の「支給額」及び「人員」の数を活用し、1人当たり平均賃金(「支給額」÷「人員」)を算出します。

(2) 「所定労働日数」を休業実施前の任意の1か月をもとに算定できることとします。

政府の方針であり、詳細は、5月8日現在発表されていません。

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