休業手当を支給した際の算定基礎届
新型コロナウイルスの影響で一時帰休(休業)し、従業員に、「低額な」休業手当を支給した企業も多いかと思います。

この場合、今年7月の算定基礎届はどのように書くのでしょうか?
ポイントは、7月1日の時点で、一時帰休(休業)が解消されているかどうか です。

どのように書くかを説明する前に、言葉の定義をはっきりさせます。

〇低額な休業手当 とは
ここで言う「低額な」とは、通常の賃金が少しでもカットされた場合をいいます。休業していても通常勤務した通りの賃金を支給していれば、「低額な」には該当しません。

ただ注意したいのは、基本給は通常通りカットせず100%支給したが、役職手当などの諸手当は不支給あるいはカットした場合です。これは「低額な」にあたります。
残業などの割増賃金ですが、これは、時間外や休日、深夜の勤務をして初めて支給されるものです。残業がなくなって残業代がなくなった事だけでは、「低額な」に該当しません。

〇7月1日の時点で一時帰休(休業)の状態が解消している とは
7月に実際に支給する給与に休業手当が含まれず、8月以降も通常の給与が支給さるの見込みのことを言います。
ここで注意したいのは、「7月に実際に支給する給与」ということであって、給与の締日や支給日によって、いつまでの休業が対象になるのか変わってきます。
末日締め、翌月10日払いの会社の例で説明します。
この会社は、6月1日から5日までが休業、この間は平均賃金の60%を支給とします。6月6日以降は通常の勤務にもどり、給与額も通常通りです。
6月1日から6月30日までの分の給与は7月10日に支給です。ここに、6月1日から6月5日までの低額な休業手当が含まれているので、7月1日時点で一時帰休(休業)は解消されていない ということになります。

〇7月1日の時点で一時帰休(休業)の状態が解消いない場合の書き方
低額な休業手当を支給した月の報酬額も含めて記載します。
低額な休業手当を支給した日も、支払い基礎日数に含まれます。
4月、5月、6月、全てで支払い基礎日数が17日以上であれば、この3か月の平均額で算定します。

〇7月1日の時点で一時帰休(休業)の状態が解消している場合の書き方
低額な休業手当を支給した月は除き、標準報酬額を算定します。
例えば、4月に支給した給与には低額な休業手当が含まれていて、5月と6月は通常通りの勤務で通常通りの賃金を支給していたとします。
5月と6月の基礎日数が17日以上であれば、この2か月の平均額で算定します。
(4月の支給した金額も記載はするのですが、標準報酬月額の計算をするときには除外します)

なお、低額な休業手当を支給した月というのは、1日でも低額な休業手当を支給した日があれば、該当します。飛び飛びで休業したような月は、低額な休業手当を支給した月 になります。

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