11月は過労死等防止啓発月間です
厚生労働省では、毎年11月を「過労死等防止啓発月間」と定め、各地で防止のためのシンポジウム等を開催しています。

また、10月30日には、「2020年版過労死等防止対策白書」を公表しています。

この機会に、過労死等の防止策について、考えていくのもよいでしょう。

〇認定件数は近年横ばい
過労死等防止対策白書によると、過労死等の認定件数は近年横ばい傾向です。原因として考えられるのは、労働時間の減少です。

週60時間以上の勤務をしている人は374万人で、全体の6.4%でした。平成30年と比較して約23万人減少しています。

また、2019年の年次有給休暇取得日数は10.1日、取得率56.3%、いずれも1984年以降過去最多となりました。

週60時間以上の勤務をしている人は374万人で、全体の6.4%でした。平成30年(2018年)と比較して約23万人減少しています。 また、2019年の年次有給休暇取得日数は10.1日、取得率56.3%、いずれも1984年以降過去最多となりました。
どちらも、政府目標には到達していませんが、2019年4月に労働基準法が改正された時間外労働の上限規制や、年次有給休暇5日取得義務が効果を現してきたといえます。

〇突然の悲劇を防ぐ
過労自殺では、ショッキングなデータもありました。平成27年4月から平成29年3月までに認定された精神障害事案のうち、自殺事案(自殺未遂を除く。)では、発病から死亡までの日数別にみると、「29日以下」が半数以上でした。また、労災認定の疾病に関して、医療機関への「受診歴なし」が約6割でした。
発症をどの時点でみるのかわからないので断定的な事は言えませんが、突然の変化で病院にもいけないくらい追い込まれていた人が多い事がうかがえます。
このような事が起こらないよう、日ごろから労働環境や労働時間の管理はしっかり行っていく必要があります。

〇「昔はもっと働いていた」は禁物
長時間労働防止の議論をしていると、「昔はもっと長時間労働していた」、「週休2日なんてなかった」という意見をたまに聞きます。確かに昭和の高度成長時代はそうだったかもしれませんが、現在には通用しないでしょう。

情報機器の発達により、仕事に関する情報は、短時間に多く入ってきます。それを、短時間で処理しなくてはなりません。マルチタスクも要求されます。多くの人と繋がれるようになったため、多くの人とコミュニケーションを取りながら仕事をしなくてはなりません。
業種によって差はあるのかもしれませんが、仕事で使う脳の負担が増えていいるのは確実です。それなりの稼働時間というのがあるのです。

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