雇用調整助成金 特例延長も財源が心配
新型コロナウイルス感染症の影響で、雇用調整助成金は、給付日額上限アップや提出書類簡素化の特例措置が行われています。
当初はこの特例措置が今年12月末で終了となっていましたが、これを来年2月末まで、現在の水準のまま延長することが決定しました。
延長はありがたいですが、財源不足という問題も出てきました。

〇延長は歓迎
2月末まで、特例措置を現在の水準で延長することは、素直に歓迎します。
11月下旬からのコロナ感染者増があり、一度は休業をやめて正常勤務になった企業でも、再び休業をせざるを得ない状況になっているところもあります。
私が仕事をしている感覚でも、「休業が再び増えてきている」というものがあります。
雇用調整助成金で、休業手当の一部が補填されるのはありがたいです。

〇雇用保険料率
財源が足りなくなっていると言っても、財源はどこから出てくるのか?
雇用調整助成金やキャリアアップ助成金など、厚生労働省が支給している雇用安定に関する助成金は、雇用保険料が財源となっています。
雇用保険料は、「失業等給付」と、「雇用保険二事業分」に分かれていて、現在の保険料率と負担割合は、以下の通りです。
・失業等給付分   労働者0.3%   事業主 0.3%
(農林水産・清酒製造の事業及び建設業はどちらも0.4%)

・雇用保険二事業分 労働なし   事業主 0.3%
(建設業は0.4%)

雇用調整助成金は、本来、雇用保険二事業分から支払われるものですが、それが給付増により財源枯渇。失業等給付の積立金より補填してきましたが、その積立金も少なくなってきているのが現状です。
失業等給付分で集めた雇用保険料は、本来は失業給付や育児休業給付に使われるもので、これが足りなくなるというのも問題です。

〇保険料アップは?
財源が足りないとなれば、考えられるのは保険料率の引き上げです。来年度(令和3年度)からの引き上げは無いようですが、今後もこの状況が続けば、令和4年度以降はどうなるかわかりません。
現在の水準が維持されて特例が延長になるのは来年2月末までで、3月以降は、給付額の減少もあるかもしれません。そのときの状況次第でしょう。

コロナウイルスの感染症がおさまり、はやく以前のような世の中になる事を祈っています。

雇用調整助成金の相談・申請代行は、東京都文京区の平倉社会保険労務士事務所まで