仮シフトで非正規社員にも雇用調整助成金
10都府県の緊急事態宣言が延長される中、大企業で働くアルバイト、パートといった非正規社員に対する補償が問題になっています。
緊急事態宣言の中で勤務もなく賃金が支払われない労働者に対して、中小企業で働く人には、「休業支援金・給付金」で補償があります。現時点ではこの制度は大企業で働く人は対象外なのですが、菅総理大臣が大企業で働く非正規社員も対象とすることを表明し、2回目の緊急事態宣言が発令された本年1月8日以降の休業から対象となる見通しです

しかし、今のままでも、雇用調整助成金、あるいは緊急雇用安定助成金を活用すれば、大企業の非正規社員にも休業手当を支給し、企業はその全部または一部を助成金で給付を受けることができるのです。
〇仮のシフトを作成

企業が雇用調整助成金、または緊急雇用安定助成金申請するためには、従業員に休業手当を支給しなくてはなりません。休業手当は、「勤務を予定していたけど、勤務できなかった日、または時間」に対しての賃金になります。よって、「勤務を予定していた日、または時間」を決めなくてはなりません。そのために、仮のシフトを作成するのです。

〇労働条件通知書に基づくシフト

「勤務が無い前提で、シフトを作成するのはおかしい。」という意見もあるでしょう。ただ、労働者として雇用するにあたっては、書面による労働条件通知書で、勤務時間や休日(または勤務日)を明示しなくてはなりません。雇用が続き、労働条件が変更がなければ、労働条件通知書に書かれた日数や時間数も継続しています。

時短要請等なく、通常通りの営業だったらという前提で、仮のシフトを作成するのがよいでしょう。

〇休業手当の支払い義務はあるか?

「緊急事態宣言の要請による休業なのだから、休業手当の支払いは不要」という意見もあるでしょう。確かに、労働基準法第26条では、使用者の責めに帰す事由による休業の場合に休業手当の支払いを義務付けていて、緊急事態宣言の要請による休業が、使用者の責めに帰す事由かどうかは大いに疑問です。

ただ、休業手当を支払わないとなると、収入が途絶えてしまう人が出てしまいます。

「休業支援金・給付金」は大企業にも適用される見込みですが、まずは、休業手当を支給して、雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金の活用を検討するのがよいでしょう。

事業主の皆様へ ~まずは雇用調整助成金の活用をご検討ください~

平倉社労士 東京都文京区の社会保険労務士 就業規則、雇用安定助成金