新型コロナウイルス陽性者の傷病手当金
新型コロナウイルスの感染者がまた増えてきました。陽性となれば勤務できず、給与はどうなるのかという相談も受けるようになりました。

新型コロナウイルスは指定感染症のため、陽性者で休んでいる人に対して、会社は休業手当を支払う義務はありませんが、年次有給休暇の取得もできますし、要件に該当すれば、傷病手当金の受給もできます。

〇年次有給休暇の取得は本人の意思
自宅療養などで賃金が出ない場合、自身の持っている年次有給休暇を使用することは可能です。これなら、「通常の賃金」なので、全額受け取れることができます。

傷病手当金は1日につき、標準報酬日額の3分の2になりますから、全額とはいきません。

なお、会社が、本人の意思を確認せずに年次有給休暇にしてしまうことはできません。年次有給休暇は、あくまでも本人の自由な意思による申請が必要です。

〇傷病手当金の申請
傷病手当金は、
傷病による労務不能
労務不能の日は、賃金が支払われていない。支払われていても、傷病手当金以下
という要件で受給できます。年次有給休暇を取得した日は、賃金が全額支払われた事になり、傷病手当金は対象外です。

もう1つの要件、傷病による労務不能については、通常は医師が診察して証明をします。
ただ、症状がなく自宅療養で医師が診察しない場合も考えられます。労務不能をどうやって証明するかが問題になります。

〇療養状況申立書
この場合は、画像のような「療養状況申立書」を本人が記載し、通常の申請書や必要書類とともに、健康保険組合に提出することになります。
画像は、全国健康保険協会(協会けんぽ)の物です。健康保険組合によっては、別の様式を用意しているところもあるようです。また、状況により追加の書類が必要になる場合もあるので、詳しい事は、自身が所属する健康保険組合に問い合わせすることをお勧めします。

平倉社労士 東京都文京区の社会保険労務士 就業規則、雇用安定助成金