採用面接の際に、扶養家族の人数を聞くべきか?
以前もこのブログで紹介しましたが、厚生労働省の履歴書様式例では、以下の変更がありました。

1. 性別欄は〔男・女〕の選択ではなく任意記載欄とした。未記載とすることも可能。
2.「通勤時間」「扶養家族数(配偶者を除く)」「配偶者」「配偶者の扶養義務」の各項目は設けない。

多くの会社が、企業がこれに沿った履歴書を使用するようになりましたが、削除となった扶養家族の項目について、「面接で聞くことはOKなのか」という質問を多く受けます。

〇家族に関する情報は、とてもデリケート
厚生労働省の「公正な採用選考の基準」には、適性と能力に関係がない事項を応募用紙等に記載させたり面接で尋ねたりして把握することは、就職差別につながるおそれがあるとして、以下の項目をあげています。

・家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)(注:家族の仕事の有無・職種・勤務先などや家族構成はこれに該当します)
公正な採用選考の基本|厚生労働省 (mhlw.go.jp) より

また、令和2年度にハローワークが把握した、応募者から「適正・能力以外の項目を把握された」と指摘があった事項のうち、およそ47%が家族に関する事でした。次いで恋愛に関する事項が約13%、住宅に関する約11%となっていますから、家族に関する事項が、いかに応募者も気にしている事がわかります。

〇なぜ、把握する必要があるのか 理由を明確にする
以上の事から、やみくもに、扶養家族の有無や人数を聞くのは避けるべきです。ただ、会社としても、把握したいのは、そこに理由があるからです。その理由をまずは会社内で明確にすることです。

会社が必要なのは、扶養家族の有無とか人数だけでなく、それが影響するその先の何かがあるからです。

〇別の質問をしてみる
扶養家族の有無や人数を把握する理由が明確になったら、そのことを聞く質問をするのもよいでしょう。会社として本当に必要な情報が把握できるかもしれません。

なお、採用後は、家族手当の金額算定や、所得税の計算、健康保険の被扶養者異動届などの手続きに必要なため、扶養家族に関する情報(氏名、生年月日等も含む)は把握することになります。

平倉社労士 東京都文京区の社会保険労務士 就業規則、雇用安定助成金