その兼業、ちょっと待った!
政府の働き方改革実現会議では、「柔軟な働き方」の促進も検討されています。その中で、テレワーク(在宅勤務)や兼業・副業の促進も検討されているようです。ただ、兼業については多くの問題があります。

アルバイト、パート等、1日の勤務時間が短い人や、1週の所定勤務日数が少ない人については認めてよいでしょう。しかし、いわゆる正社員や、期間雇用契約社員等であってもフルタイム勤務の場合は、慎重に検討する必要があります。

まず、フルタイム勤務の人が兼業をするとなると、労働時間が多くなります。休日も少なくなる可能性があり、本人の健康上の問題がでてきます。兼業のし過ぎで、本業の仕事に支障がでるかもしれません。
また、本業の企業の技術的な情報や顧客情報が兼業先に漏れてしまうかもしれません。兼業を認める際には、機密保持は誓約するのですが、本人が仕事をしているうちに無意識に漏らしてしまうこともあります。情報が漏れてしまってからでは遅いのです。

ところで、兼業と時間外割増賃金であまり知られていないことがあります。
Yさんの1日の勤務は次の通りでした。
A社 9時から16時  途中1時間休憩 実働6時間
B社 18時から21時 休憩なし     実働3時間
A社でも8時間以内、B社でも8時間以内の労働なので、一見すると時間外割増賃金は発生しないように思えます。しかし、Yさんは1日9時間労働しているのです。
この場合、8時間を超えている最後の1時間は時間外割増賃金25%が発生し、B社に支払い義務があります。週40時間労働のカウントも、労働者ごとの通算時間となります。

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