無給医に是正勧告
医師免許を持った大学院生に診療をさせたのに賃金を支払わなかったとして、大学病院が労働基準監督署から是正勧告を受けていたことがわかりました。

2019年10月~11月の件についての是正勧告をし、過去2年に遡って調査し、労働に見合った報酬を支払うよう指導しています。

大学病院は「今年度からは適切な対応をとっており、現在は問題がないと考えている」とコメントしています。

〇是正勧告とは

労働基準監督署に所属する労働基準監督官が、事業所の賃金台帳や出勤簿、就業規則など調べ、労働基準法などの労働法規に違反が見つかった場合は、それを是正するために行うものです。

通常は、是正報告書が渡され、違反となった根拠の条文番号と違反の事実が記載されています。指摘された内容を期日までに是正し、是正したことがわかる書類(未払いとなっていた賃金を支給した賃金台帳等)を添付して提出します。

〇どんな業種でも

今回は大学病院の例を取り上げましたが、労働基準監督官による調査は、どんな業種でも行われています。

調査は、期日を指定されて労働基準監督署などに出向く場合と、予告なしに労働基準監督官が事業所にくる場合があります。また、労働者からの申告があって行う調査と、ランダムに抽出した事業所に行う調査があります。

「当社は、労使関係が良好だから調査は来ない」と思っていても、調査が来ることはあります。ただ、違反がなければ問題なく終了します。

〇自主点検を
労働条件は、言われてから直すのではなく、自ら改善していくものです。労働法例は法改正も多いので、定期的に自社の労働条件を点検することです。

以下の項目は、特に注意が必要です
・36協定届(時間外労働休日労働に関する協定届)など、労基署に提出すべきものは提出しているか

・残業時間数は、36協定で定めた時間の範囲内か

・10日以上の年次有給休暇を付与している労働者に、年5日以上取得させているか

・時間外の割増賃金、算出に必要な手当を入れているか

平倉社労士 東京都文京区の社会保険労務士 就業規則、雇用安定助成金 

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