不正競争防止法と職業選択の自由
大手家電量販会社Aの社員だったXが退職し、ライバル企業のB社に再就職。XはA社の営業機密ilm08_ab07007を不正に入手し、それをB社の営業活動で利用するという事件が起きました。
Oは不正競争防止法違反で有罪が確定し、A会社とXはB社から損害賠償訴訟を起こされました。

このような事案はどの業界、どの企業でも起こり得ることで、対策を立てなければなりません。多くの企業が、退職していく社員に対して「競業忌避誓約書」なるもの書かせています。それは以下のようなことがかかれています。
・退職後1年間は、会社の承諾なくして競合他社に就職してはならない。
・当社の営業機密を利用して営業行為をしてはならない。
違反した場合には、損害賠償の提起や退職金の返還も書かれているのが一般的です。

ただし、上記のような誓約書にどこまで効力があるのかは疑問です。職業選択の自由は憲法で保障された権利です。ほかの会社に就職したというだけでは違法になりません。また、営業機密かどうかの判断は非常に難しいです。一般的なノウハウということもありますし、既に周知になった情報ということもあります。

誓約書を書かせる理由は、「このような事をしてはいけない」、「不正があれば、会社は断固たる措置を取る」ということを理解してもらうためです。退職した社員が再就職する先は同じ業界が多いです。これまでの知識や経験が生かせるからです。だからと言って、在職時に取得した営業機密を利用することは不正になることを理解してもらいたいです。

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