映画制作の就業環境が改善へ
映画業界が、制作現場の就業改善に向け、大きく舵を切りました。

配給元の映画配給会社、制作会社、スタッフの3者が、契約や就業環境を定めたガイドラインを作成しました。

また、一般社団法人日本映画制作適正化機構(映適)を設立し、制作スタッフの相談を受け付けるスタッフセンターを設けたり、ガイドラインを守って作られた作品を認定する制度を作ったりしています。

瀬川労災を知る私にとって、これは画期的な出来事です。

〇ガイドラインの内容
ガイドラインは映適のHPで公表されていて、誰でも見ることができます。

日本映画制作適正化機構 

主な内容は、以下の通りです。

(1)映画製作社-制作会社間の取引
①契約書
②予算
(2)制作会社-フリーランス間の取引
③契約書・発注書
(3)映画制作現場のルール
④作業・撮影時間
⑤休日
⑥休憩・食事
⑦スケジュール
⑧安全管理
⑨ハラスメント
⑧と⑨には、さらに細かいガイドラインがHP上に公表されています。

内容を見ると、労働基準法の考え方が元になっていると感じました。

契約内容を事前にはっきりさせる。
撮影の時間、休日、休憩にはしっかりとルールを作る。
安全管理やハラスメント対策もしっかりやる。

一般企業にも通用し、参考になる内容が書かれています。

〇ガイドライン策定の背景
まず、このガイドラインの名称は、「映像制作の持続的な発展に向けた取引ガイドライン」となっています。

また、ガイドラインの最初の部分に、このガイドラインの目的とも思われる、以下のような文言があります。

・・・我が国の映画制作を将来にわたって持続させるためには、映画制 作現場の取引・就業環境改善や映画産業を牽引する人材の育成を行うための映画産業関係者による自主的取組が必要であるとの認識から・・・・

長時間の撮影など、就業環境を厳しくすれば、納期内に作品はできるのでしょう。

しかし、それを続けていけばどこかに無理がでて、品質的には落ちてしまうかもしれません。

タイトルにあるよう、「持続的な発展」のためには、就業環境の改善が必要なのでしょう。

なお、このガイドラインに基づいて制作された作品を、日本映画制作適正化機構が認定を与える制度もできました。

認定を受けた作品には「映適」と入ったマークが付けられます。

〇他業界への広がりは?
映画とにいてるTV番組制作や、CMなどの映像制作の業界にも広がる可能性はあります。

映像にとどまらず、全ての業界に広がる可能性もあります。

強制労働によって作られたアパレル製品の不買運動は、世界的に広がっています。

また、「厳しすぎる就業環境で作られた製品は持続的に発展しない」という考えは、どこの業界にも広がりつつあります。

「下請けいじめ」によってできた製品は、いずれはダメになるでしょう。

それを防ぐためには、自分たちの業界、自分たちの会社で、適正化を考え、実行していくことでしょう。

平倉社労士 東京都文京区の社会保険労務士 就業規則、雇用安定助成金