フリーランス新法の概要
働き方が多様化し、会社等の組織に属さず、個人で仕事を請け負う人も増えてきています。

いわゆる「フリーランス」と言う方たちです。

個人でやっているため、仕事の契約上は「弱い立場」になりがちです。

その人たちを守る、フリーランス新法(通称)が成立しました。

〇フリーランス新法の概略

正式名称は、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」になります。

フリーランスとの業務委託を行う際、委託する側(発注する方)に、給付の内容や報酬に関する事などを明記することを義務付けています。

これにより、フリーランスとの取引の適正化及びフリーランスの就業環境の整備を図ることを目的としています。

施行日(この法律が開始される日)は未定ですが、2024年6月頃の予定です。

〇保護されるフリーランスは

この法律では、保護される対象として、「特定受託事業者」というものが定義されています。

・業務委託を受ける側であって、従業員を使用しない個人事業者
・法人の場合は、代表者1人であって、ほかに役員(取締役、監査役、理事、監事など)も従業員もいない法人

法人化している場合でも、1人でやっている場合は該当するのです。

そして、この特定受託事業者に従事ている人が、「特定受託事業者」と定義されています。いわゆるフリーランスです。

〇義務が生じるのは

この法律では、委託する側(発注する方)にも、「特定業務委託事業者」というものが定義されています。

・個人事業で、従業員を使用する者
・法人で、役員が複数いる、あるいは、従業員を使用している

特定受託事業者とは反対に、複数人でやっている事業体です。

従業員やほかの役員がいない事業体が、委託する側(発注する方)になる場合もあります。

この場合は、「業務委託事業者」となり、義務の範囲は狭くなります。

〇義務の内容は

大きく分けて、「取引の適正化」と「就業環境の整備」があります。

取引の適正化では、以下の内容を明示することが、委託する側(発注する側)に義務付けられます。
・給付の内容
・報酬の額
・支払期日
・その他の事項

最低限、「どんな仕事をしてもらい」、「それに対する報酬額はいくらで」、「いつまでに支払う」といった事は明示する必要があります。

就業環境の整備については、以下の通りです

・募集内容の的確な表示
・妊娠、出産若しくは育児又は介護に対する配慮(継続的な委託の場合)
・ハラスメント防止、相談体制の整備
・契約解除等の予告(継続的な委託の場合)

細かい部分はこれから発表される施行令や施行規則によります。

ただ、令和3年3月にフリーランスガイドライン(フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン)がすでに発表されています。

これを参考にするのはよいかもしれません。

平倉社労士 東京都文京区の社会保険労務士 就業規則、雇用安定助成金