残業代(時間外労働、休日労働、深夜労働)を計算する際、月給者はまず「時給」を算出します。
月給から時給を算出する際に、どの賃金(どの手当)を算入して、どの賃金(どの手当)を算入しないかが問題になるのですが、これは労働基準法で定められているのです。
〇時給単価の算定対象になる賃金
残業代の時給単価を算出する際には、原則として全ての賃金(全ての手当)を算入しなくてはなりません。
ただし、以下の賃金(手当)は、除外してよい事になっています。
・家族手当
・通勤手当
・別居手当
・子女教育手当
・住宅手当
・臨時に支払われる賃金(慶弔見舞金など)
・1か月を超える期間で算定される賃金(賞与など)
このほか、固定残業制を導入している企業の固定残業手当など、そもそも残業代(割増賃金)に対して支払われる賃金も除外してよい事になっています。
〇限定列挙、実態主義
ここで注意したいのが2点あります。
1つは、除外してよいのは、上記した賃金(手当)に限定されるということです。これ以外の賃金(手当)は算入しなくてはなりません。
役職手当、資格手当、特殊業務手当、精皆勤手当など、上記にないものは算入しなくてはなりません。
精皆勤手当は、欠勤があった月は支給されないことでしょう。その月は、残業の単価も変わってきます。
2つめは、名称だけで判断するわけではないということです。
家族手当として、扶養家族がいる人にもいない人にも一律で月額2万円支給しているようなケース。
これでは、実質、基本給を2万円かさ上げしているだけです。
家族の有無や人数に応じて支給するようになっていないと、ここでいう家族手当には該当しません。したがって、除外できません。
住宅手当でも同様な事がいえます。
〇在宅手当が除外になる背景
在宅手当は、自宅で勤務する際の電気代や通信費を賄う意味で支給している企業が多いようです。
つまり、会社の経費的な意味合いがあるのです。
経費も残業代の対象にするのかという議論があるのでしょう。
ただ、手当として支給していれば、税金や保険料の算定にもなるので、その辺の兼ね合いもしっかり決めていただきたいところです。
まだ検討段階なので、今後の展開に注目していきます。